今年初の負け
今日は、開幕無傷の8連勝を目指した大谷翔平の、阪神との交流戦。
結果は、1-0で負け。
初の黒星となりました。
1点差ゲームでの負け、というのは、いろんなことを学ばせてくれる。
翔平は、今日は11奪三振、7回までたったの1失点だったわけだから、調子が悪かったわけではない。
でも、打線が援護しなかった、相手ピッチャーが良かった、というだけの理由で負けたと考えるのは、後の試合に何も残さない。
今日のピッチングを見てみると、マウンドでの気持ちの「ノリ」があまり高くなかったように思える。
彼の聖地である「甲子園」で、あまり気持ちが高揚しないように抑え気味だったのかもしれないが、普通にいい球を投げ、ピンチも落ち着いて凌いでいた割には、いつもの彼らしい気合が上がってこなかった。
どこか、淡々と投げてしまっているように見えた。
ずっと野球を見ていると、「ああ、この後逆転するな」とか、「この後、失点・逆転されるな」とわかってくる。
それは、ピッチャーの気持ちが表に出た時。
ピッチャーが投げている時に、後ろで守っている野手たちは、自然とその気持ちが伝わってくるという。
ビシッと抑えて、自信に満ちている時、野手もその気持ちが伝わって自然と打撃に反映される。
逆に、フォアボールや失点でガッカリしている時は、野手も緊張や不安な気持ちのまま打席に入ってしまう。
頭では、切り替えているつもりでも、潜在意識レベルではつながっていて、大きな影響を与え合っているのだ。
今日、打線がゼロで抑え得られてしまったのは、もちろん相手のメッセンジャーが素晴らしい球を投げていたことが大きな理由かもしれないけれど、実は、どんなにいいピッチングをしている時でも付け入るスキは必ずどこかにあるもので、それをものにするかしないかで、本当に強いチームかどうかがわかれるのだ。
でも、付け入るスキを見出すどころか、完全に抑え込まれてしまったのは、どうにも今日の翔平のピッチングからの影響があったんじゃないかと思う。
淡々と投げていた今日、それは、実はキャッチャーのリードによるものではないかと思う。
大野奨太は正捕手で、頭も良く、守りも上手なキャッチャーだけれど、果たして翔平の気持ちを上げるリードができていたか?
よく、キャッチャーは女房役、といわれるけれど、あげまんのようにピッチャーを鼓舞させるような仕事ができていたか?
それが凄く気になった。
キャッチャーは、その日のピッチャーの調子、球すじやキレ、どの球種がいいのか、投げているピッチャー本人よりも正確に見極めなくてはならないという。
翔平は、誰もが認める剛速球ピッチャーだから、その日ストレートの球威とキレが悪いと相手打線を抑えることはほぼできない。
今日の調子はどうだったのか?
配球を見ている限り、どうもスライダーやフォークが多く、ストレートでガンガン押す、ということはしなかったようだ。
ストレートの球速も、150k前半くらいが多く、最高でも157kが2球くらいだった。
それは、翔平の調子のせいだったのか?
わたしは、そうではないような気がする。
相手の阪神打線は、翔平の速球を打つために、ピッチングマシンを通常よりも3メートルも前に設置して打撃練習をしていたという。
そう言った情報が、奨太に「ストレートが狙われている」「ストレートに合わせてくる」という余計な考えを与え、変化球でかわすピッチングになっていったんじゃないかと思う。
つまり、勝つ=抑える、だけになったリードだったんじゃないか。
翔平は、速球投手だ。
ストレートを気持ち良く投げられなければ、気持ちが乗ってこない。
どんなにスライダーやフォークで三振を取っても、ストレートで抑えられなければ自信が湧いてこないのだ。
そういった配球が、今日のどこか淡々としたピッチングになっていったような気がする。
そして、その淡白さが打線にも伝わって、淡白な攻めになり、ゼロという結果になっていった、
そう思うのだ。
ピッチャーが抑えれば勝てる、そういう考えではこういった僅差のゲームには決して勝てないだろう。
ダルビッシュは孤高の強メンタルアスリートで、キャッチャーに頼らなくても自分で自分の気持ちを鼓舞することができる。
そこが彼のもの凄いところなんだけれど、翔平はまだ21歳で若く、キャッチャーが上手くメンタルをコントロールしてあげないといけない部分が多い。
今日は抑えたけれど、いいピッチングを続けていて、後半に急に崩れだすことがよくある。
崩れだすと、それまでとは別人のように打たれたり、コントロールを乱してしまう。
それも、自分に自信をどれだけ感じながら投げられているか、ということの証しなんじゃないだろうか。
野球に限らず、スポーツは目には見えない力で勝敗のほとんどが決まる。
三振がバンバン取れる、球速が早い、コントロールがいい、ホームランをガンガン打つ、ヒットを量産できる、打率が高い、足が速い、エラーをしない、選球眼がある、
そんな個人の才能や技術だけで勝てるチームが作れるなら、どこも苦労はしないだろう。
それプラス、「気持ち」という、目には見えない力でつながっている人間同士が、1+1ではなく、1×無限大の力を発揮できた時、本当に強い試合ができる。
2009年のファイターズ、一昨年の楽天、去年のオリックス、みんなそうだった。
お互いの気持ちを高め、フォローしあうチームワーク、
そういった愛を感じられるからわたしは野球が大好きなのだ!!
今年のファイターズは、そういった心のつながりが感じられる。
去年のクライマックスシリーズの経験がここに生かされていると思う。
だからここまで首位で来ていたのだと思う。
今日の悔しいというか不思議な負けを忘れずに、今後も試合を見守っていきたいと思う!
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